第5章 月光
深く長いキスが終わると、俺達の間を銀の細い糸が繋いだ。
「智、熱すぎ」
「フフ、熱上がったかもね…」
頭がクラクラするのは、きっと熱のせいだけじゃない。
お互いの額をコツンとくっつけると、潤の顔があまりに近くて、急に恥ずかしくなった。
「何照れてんの?」
「べ、別に照れてないし…」
「そ? 顔、真っ赤だよ?」
潤の手が俺の頬を撫でた。
指先の冷たさが気持ち良くて、俺は目を閉じた。
背中に腕を回され、ゆっくり押し倒される感覚に、思わず身体に力が入った。
ソファに沈んだ身体に、僅かに感じる重みで瞼を開いた。
「…潤?」
俺を見下ろす潤の瞳は、ほんの少しだけ潤んでいるように見えた。
「キスして?」
今度は俺の方から強請った。
「仰せのままに」
冗談混じりの言葉を囁きながら、俺の前髪を掻き上げ、露になった額にチュッと音を立てながら唇を落とした。
頬、鼻先、そして唇に辿り着いた潤のそれ…
俺は潤の首に腕を巻き付け、自分から潤の唇を割開いて舌を絡めた。
「ん…ん…ふ…」
潤の手がセーターの上から俺の胸に触れた。
「あ、や…ぁ…」
思わずその手を掴んだ。
「俺が怖い?」
「怖くない」