第4章 G線上のアリア
小さなテーブルに、二人で向き合って座った。
テーブルの上には大根の味噌汁と、炊き立てのご飯。そして手を付けられないままになってた唐揚げ弁当。
「いただきます」
味噌汁をズズッと啜った。
暖かさが全身に染み渡る。
「うまいじゃん」
「えっ、マジで?」
親指を立てて、ウィンクしてやると、大野さんも味噌汁の椀を手に取り、ズズッと啜ると、
「ホントだ…」
って笑ってみせた。
大野さんの顔に笑顔が戻ったことに、俺はすっかり安心しきっていた。
笑顔の下で、大野さんが何を思い、何を考えているかなんて、気付きもしなかった。
まさか翔ちゃんとの会話を、大野さんが聞いていたなんて、思いもしなかったんだ。