第4章 G線上のアリア
首筋に手を触れると、しっとり汗をかいていた。
着替えはさせた方がいいかもな…
思ったものの他人の家だ。
勝手に箪笥開けるのもどうなのかと、一瞬躊躇ったが、この場合仕方がない。
取り敢えず上の段から開けてみる。
意外にも綺麗に整頓されていた引き出しの中に、スウェットの上下が揃えてしまって合った。
これでいっか…
「大野さん、ちょっと起きれる? 汗かいてるから、着替えだけしよ?」
ん、と小さく頷く大野さんの身体を自分に凭せ掛け、手早く上衣を脱がせると、新たな上衣を着せた。
「下、自分で出来る?」
頷いてはいるものの、俺が支えていないとフラッと倒れてしまいそうで…
結局俺に身体を預けさせたまま、ベッドの端に座らせ、ズボンに手をかけた。
熱に浮かされ、脱力していた大野さんの身体が、一瞬ビクッと硬直し、ブルブルと震えだした。
「…やっ、…や…ぁ…だ…」
フラッシュバック…?
半ばパニックに陥りそうな身体を腕の中に抱きとめた。
「俺だよ、和也! 分かる? 俺は何もしないよ? だから安心して?」
宥めるように言うと、肩越しに“ゴメン”と、吐息混じりの声が聞こえた。