第4章 G線上のアリア
「俺もさ、潤のしたこと、全部許せる訳じゃないよ? それにまーくんだって、潤のためって言いながら、結果アンタに酷いことした訳だし…」
そう、簡単に許されることじゃない。
でもだからってこのまま、俺達の関係が壊れてしまっていいのか?
そしたら翔ちゃんの気持ちは?
大野さんの想いは?
「潤てさ、昔かっら不器用なとこあったじゃん? 口では恰好いいこと言っててもさ、実際の潤は弱くて、1人では何もできねぇ奴でさ…」
唇をキュッと噛み締めたまま俯く大野さんに、それ以上言葉が見つけられなくて、重ねた手に力を込めた。
そこにポツンと赤い雫が落ちた。
見上げると、噛み締めた唇の端に赤い血が滲んでいた。
「ちょ、ちょっと、何やってんだよ…!」
ベッドの下にあったティシュを一枚抜き取り、唇に宛てた。