第4章 G線上のアリア
やっぱりこの人には嘘や誤魔化しは通用しない…
最も俺も嘘をつく気も、誤魔化すつもりもない。
大野さんは俺の性格を熟知してる筈だから。
例え上手く騙せたとしても、きっと呆気なく見破られてしまうだろう。
「聞いてるよ? だけどその事とその金に何の関係があるの?」
手にした封筒をヒラヒラさせながら、また一つ息を吐いた。
「そこまでは聞いてねぇのか…。
これはね、俺の一晩の報酬、ってとこかな?」
「何それ…どうゆうこと?」
まーくんからは無理矢理抱いた、とは聞いてるけど、金のことなんて聞いてない…
「目が覚めたらさ、置いてあったんだよ、コレが枕元に」
そう言うと、テーブルの上に封筒を乱暴に放り投げた。
潤だ…
アイツは悪いヤツじゃないけど、昔かっらことある事に金で解決しようとするところがある。
だから大野さんのことも…?
「で、でもさ、アンタも知ってんだろ? 潤の性格。“報酬“ってのは違うんじゃない?」
膝の上で硬く結んだ手が、どんどん色を無くして行く。
俺はそこに、そっと自分の手を添えた。