第4章 G線上のアリア
青白い顔に指先で軽く触れてみる。
「なぁ、和…」
すっかり眠っているとばかり思っていた。
「な、何?」
俺は慌てて手を引っ込めた。
大野さんはゆっくり身体を起こし、ベッドに腰掛けた。
そして一つ深呼吸をすると、一気にそれを吐き出した。
ベッドの上に放り出されたダウンのポケットを探り、そこからクシャクシャになった封筒をを取り出した。
目の前に差し出された封筒を、俺は黙って受取った。
「中、見てみ?」
封筒の中には数10枚の一万円札。
「この金がどうしたの?」
大野さんは俺の手から封筒を取り上げると、フフッと笑った。
「雅紀から聞いてんじゃねぇの?」
違和感を感じたのはこの人がまーくんを、“相葉ちゃん”ではなく“雅紀”、そう呼んだから。