第4章 G線上のアリア
体育館倉庫に通うのが、もう日課のようになっていたある日のことだ。
いつものようにトイレを言い訳に教室を出た俺を、廊下で大野さんが呼び止めた。
「お前、いつまで奴らの言いなりになってるつもり?
俺等が気付いてないと思ってた?
なんで俺等に相談しなかったの?
そんなに俺らのこと信じられなかった?
確かにさ、俺とか翔くんや松潤どうか分かんないけど、少なくとも相葉ちゃんはさ、お前のこと命懸けで守ってくれる筈だよ?」
普段は見せない険しい表情。
ショックだった。
気付いてたのに助けてくれなかったことよりも、俺が“イジメ”のターゲットになってることを知られたことのが、よっぽどショックだった。
でもそれ以上に、ちっぽけなプライドのために、仲間を信じられなかった自分が情けなくって…。
涙が止まらなかった。
大野さんはそんな俺の頭をポンポンってすると、フニャって笑って見せた。
「もっと信じてみろよ、俺達を」
そう言って俺が泣き止むまで傍にいてくれた。
この時俺は分かったんだ、翔ちゃんの言葉の意味が。
大野さんこそ“リーダー”と呼ぶに相応しい人だ、と…。
その後、俺への“イジメ”は何も無かったかのようにプッツリなくなり、楽しい高校生活を送ることが出来た。