第1章 アヴェ・マリア
『翔さん…参加で返信貰ってるけど?』
久しぶりに聞く名前に、心臓がドクンと高鳴った。
『会いたくないの?』
会いたくないわけないじゃん…
会いたいよ…
会いたくてたまらないよ…
でも、
「ごめん、ホント今無理なんだって…」
正直に金がない、って言ってしまえば済む話なんだろうけど、変なところでなけなしのプライドが邪魔をする。
『わかった…』
電話の向こうからの言葉に、内心ホッとするけど、それも束の間、
『じゃあさ、今からちょっと出てきてよ』
「い、今から?」
『そ、今から。 アパートの前にいるからさ』
なんだそれ…?
松本潤って奴はいつも突然なんだ。
相手に拒否権を与えない。
そんなとこは昔とちっとも変わってない。