第3章 ジムノペディ
無言で和を背中から抱き締めた。
頬に軽くキスをすると、和もそれに応えるようにゆっくり目を伏せた。
和の唇に自分のそれを押し付けると、微かに開いた隙間から舌をすべりこませた。
「…うぅ…はぁ…」
唇の端から吐息が漏れ、溢れた透明な液体がお互いの顎を伝う。
俺はそのまま和の身体を引き倒し、その上に覆いかぶさった。
唇を離し、白い首筋に吸い付いついた瞬間、目の前が真っ白になり、衝撃で俺の身体は弾き飛ばされた。
和の顔がみるみる険しい表情に変わった。
「な、何すんだよ!!」
ジンジンした痛みを訴える頬を抑え、和を睨みつけた。
「お前さぁ、誰抱いてきた? 潤だけじゃないよねぇ?」
初めて聞く低く冷たい声。
「何言ってんの? 潤だけに決まってるじゃん…」
上手く取り繕おうと発する声が上擦って、動揺を隠しきれない瞳は和から逃れようと必死に動き回る。