第16章 永遠に君想う…
夜になり、三人と別れた俺は、親類縁者に適当に挨拶を済ませ、自宅へと戻った。
勿論、智も一緒にだ。
「あ、鍵開けたままだったみたいだ…」
よくよく家の中を見回すと、電気がつきっ放しの部屋もいくつかある。
「電気代だってばかになんないのに…」
智に口煩く言われた言葉を、今度は自分で自分に向かって呟く。
そう、俺だって気にしてなかったわけじゃないんだよ。
たださ、
「つけっぱなしの電気を、お前と一緒に消して回るのが、俺にはけっこう楽しみだったんだよ」
お前は知らないかもしれないけどな。
「あ、ビール飲むだろ? ずっと我慢してたんだし、もうそろそろいいだろ?」
俺も久しぶりに智と一緒に一杯やりたい気分なんだ。
「ちょっと待ってろ、今用意するから。あ、寒くないか? 寒かったらこたつに足突っ込んどけよ?」
俺はキッチンに入ると、冷蔵庫から缶ビールを一本取り出した。
そして、揃いの食器が並んだ棚を開けると、特別な日にしか使わないグラスを二つ、手に取った。
「お待たせ。つまみになるような物、何もないけど…いいよな?」
赤と青の切子のグラスを二つ並べ、青のグラスには半分くらい、赤のグラスに残りを全部注いだ。
「物足りないかもしれないけど、我慢しろよ?」
すっと飲んでなかったんだから、いきなり飲み過ぎても悪酔いするだけだから…
「お帰り、智…。久しぶりの我が家はどうだ?」
赤いグラスを青いグラスに軽く当てると、カチンととても澄んだ音がした。
ああ、そうだ…
智はこの音がとても好きだった…
なあ、そうだろ、智…?