• テキストサイズ

Pentagon【気象系BL】

第16章 永遠に君想う…


夜になり、三人と別れた俺は、親類縁者に適当に挨拶を済ませ、自宅へと戻った。

勿論、智も一緒にだ。

「あ、鍵開けたままだったみたいだ…」

よくよく家の中を見回すと、電気がつきっ放しの部屋もいくつかある。

「電気代だってばかになんないのに…」

智に口煩く言われた言葉を、今度は自分で自分に向かって呟く。

そう、俺だって気にしてなかったわけじゃないんだよ。

たださ、

「つけっぱなしの電気を、お前と一緒に消して回るのが、俺にはけっこう楽しみだったんだよ」

お前は知らないかもしれないけどな。

「あ、ビール飲むだろ? ずっと我慢してたんだし、もうそろそろいいだろ?」

俺も久しぶりに智と一緒に一杯やりたい気分なんだ。

「ちょっと待ってろ、今用意するから。あ、寒くないか? 寒かったらこたつに足突っ込んどけよ?」

俺はキッチンに入ると、冷蔵庫から缶ビールを一本取り出した。

そして、揃いの食器が並んだ棚を開けると、特別な日にしか使わないグラスを二つ、手に取った。

「お待たせ。つまみになるような物、何もないけど…いいよな?」

赤と青の切子のグラスを二つ並べ、青のグラスには半分くらい、赤のグラスに残りを全部注いだ。

「物足りないかもしれないけど、我慢しろよ?」

すっと飲んでなかったんだから、いきなり飲み過ぎても悪酔いするだけだから…

「お帰り、智…。久しぶりの我が家はどうだ?」

赤いグラスを青いグラスに軽く当てると、カチンととても澄んだ音がした。

ああ、そうだ…

智はこの音がとても好きだった…

なあ、そうだろ、智…?
/ 297ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp