第16章 永遠に君想う…
夜半過ぎから降り始めた雨は、昼を過ぎても止むことはなかった。
「こんな時まで雨なんてな…」
ネクタイを緩めながら、隣で潤がポツリ言う。
「仕方ないよ、智は自他ともに認める雨男だったから…」
和也の言う通りだ。
「そう言えばさ、あの時も雨だったよね?」
雅紀の言う“あの時”がいつのことなのかは、俺には分からないけど、確かに智は記念日となると大抵雨が多かった。
それも今となってはいい思い出だ。
「あ、翔ちゃんこれからどうするの? あの家にまだ…?」
これから、か…
正直、今は先のことなんて考えられないんだけど…
取り敢えず買ってしまった物は仕方ない。
「そのつもりだけど…」
本音を言えば、智との思い出に満ちたあの家に、このまま住み続けるのは、今の俺には流石に辛くて…
いっそのこと売っぱらってしまおうかとも考えたが、結局それも出来ずじまいだ。
「そっか、良かった。だってさ、あの家しかないじゃん、智が帰って来れるのってさ…」
そうか…
そう言われてみればそうかもな…
確かに智が帰る場所は、俺達が共に暮らしたあの家しかない。
「あ、じゃあさ、たまには遊びに行ってもいい? ほら、翔ちゃんも寂しいだろうしさ」
俺が…寂しい…?
そんなわけないだろ…
だって俺の傍には、いつだって智が…
「翔さん…?」
潤に言われて、自分の頬に手を当てる。
何で俺、泣いてんだよ…