第15章 二人の記念日
俺がどんな気持ちでいたかなんて、全く知らずフニャンと笑ってみせる智君の手を引き、部屋に引き返す。
ドアを開け、半ば強引に部屋に引き込む。
「ねぇ、翔君? 手、痛い…」
言われて漸く離した智君の手首は、真っ赤になっている。
ごめん…
謝ろうと思った。
寒かったよね…。
冷えた身体を暖めて上げたかった。
なのに、壁に智君を押し付け、口から出てきたのは、
「どこで何やってたの? 電話にも出ないし…。俺がどんだけ心配したか分かってる? …分かって無いよね? ヘラヘラ笑っちゃってさ…。何なの?」
一方的に智君を責める言葉だった。
笑顔が少しづつ曇って行く。
そんな顔をさせたいわけじゃない…
でも、一度火が着いた俺は、自分で自分が制御出来なくて…
再び智君の手首を掴むと、そのまま引きずるように寝室のドアを開けた。
二人で選んだセミダブルのベッドに智君の細い身体を放り投げ、その上に覆い被さった。
俺の下で、智君が小さく震える。
見開いた目には、どんどん涙が溜まって、怯えているのが分かった。
それでも俺は止まれなくて、性急に智君のダッフルコートのボタンを外すと、その下のセーターを捲りあげた。
「ちゃんと理由言うまで、許さないから…」
少しだけ肉の着いた胸の先に吸い付き、手はベルトを引き抜いた。