第14章 おまけのPentagon
「しょ…くん…?」
俺を抱きしめる腕にグッと力が籠る。
「どうしたの?」
「少しだけこうしてていい?」
翔君の厚い胸に顔を埋めたまま俺は頷く。
「ふふ、翔君の心臓凄いバクバクいってる」
頬に翔君の鼓動を感じながら、俺はそっと瞼を伏せる。
こんなにも近くに翔君がいる…
それだけで俺は…
「智?」
不意に名前を呼ばれ、顔を上げた俺の唇に翔君の唇が重なる。
触れるだけのキスを角度を変えながら繰り返す。
決して深く交わることのない、優しいキス。
こんな甘くて溶けそうなキス、初めてかも…
フッと身体から力が抜けるのを翔君の腕が支える。
「智、俺の傍にいてくれるか?」
唇が離れ、代わりに互いの額をくっつける。
「翔君? どうしたの、急に…」
「いいから、応えて? ずっと俺の傍にいてくれる?」
翔君の瞳が揺れる。
「うん。ずっと翔君の傍にいたい」
「愛してるよ、智。今までも、これからも俺には智だけだから…」
俺の胸に熱い物が込み上げてくる。
「俺も、翔君を愛してる…ずっと…」
涙が溢れて言葉にならない。
「泣くなよな?」
だって嬉しいんだもん…
仕方ないじゃん…
俺の頬を濡らす涙を翔君の指が拭う。
「俺達もいつかあいつらみたいになれたらいいな?」
波打ち際ではしゃぐ三人に視線を向ける。