第14章 おまけのPentagon
そこにはあの日…
高校生活最後の夏休みを過ごした、あの懐かしい光景が広がっていた。
ちょっと違うのは、そこにいるのが俺達五人だけじゃない、ってことかな。
少し離れた場所から潤を見つめる斗真の姿…
斗真が潤の傍にいてくれて、本当に良かった…、と心からそう思う。
斗真がいなかったら、きっと俺達は…
「翔君、俺ね? 今最高に幸せだよ?」
俺の言葉に翔君が足を止める。
「どうしたの、急に」
「だって幸せなんだもん」
こうして一歩前に進んでは、足踏みを繰り返す俺を、自らの足を止め、待っていてくれる人が傍にいることが…
「ほら、行くよ?」
そして迷ってばかりの俺に、明るい光で道を照らしてくれる人が傍にいることが…
「うん」
こんなにも幸せだなんて、俺は知らなかった。
「待ってってば…うわっ!」
例え砂に足を取られて躓いても、
「大野さん何やってんの?」
「大ちゃん、大丈夫?」
「リーダー、ダッサ…」
「ほら、智君…」
目の前に差し出される四つの温かい手…
俺は一人じゃない…
俺には仲間がいる。
今だからそう思える。
この時間こそが、俺にとっての最高に幸せを感じる瞬間、だってね…
そこには流した涙の数だけ、
ううん…
それ以上に沢山の笑顔が溢れている。
出逢えて良かった…
今、心からそう思える…
ありがとう、と…
「Pentagon」完