第14章 おまけのPentagon
「あいつら、めっちゃ楽しそうじゃん」
潤が防潮堤から砂浜へとひょいと飛び降りる。
何をやっても様になる奴だ。
…に比べて…
「俺、先降りて翔君受け止めようか?」
たかだか1メートルちょっとの高さを躊躇する翔君に向かって言う。
「い、いや、ここは俺が…」
翔君が意を決したように立ち上がり、防潮堤の上から飛び降りる。
ドテッ…
あ~あ、だから俺が受け止めるって言ったのに…
見下ろした先に翔君が蛙のような格好で砂浜に埋もれている。
「大…丈…夫?」
「ハハ…、失敗したみたい…」
身体に着いた砂を手で払いながら、翔君のちょっと情けない笑顔が俺を見上げる。
そして、
「おいで?」
そう言って、俺に向かって広げられる翔君の両手。
「ちゃんと受け止めてよ?」
本当は嬉しくて堪らないくせに、ついつい憎まれ口を叩いてしまう。
「大丈夫。ちゃんと受け止めるから、安心して飛び込んでおいで?」
ちょっと気障な台詞に、俺は顔が熱くなるのを感じながら、大きく広げられた翔君の腕の中に向かって飛び込んだ。
フワッと身体が浮いた感覚がした次の瞬間、俺は翔君の逞しい腕に包まれていた。