第14章 おまけのPentagon
砂浜と道路を隔てる防波堤に添って、五人で並んで歩く。
たったそれだけなのに、懐かしさが込み上げる。
「ここから降りれそうだよ?」
防波堤にピョンと飛び乗った相葉ちゃんが俺達を見下ろす。
「和、おいで?」
相葉ちゃんの手が和に向かって伸びた。
俺はチラッと隣の翔君を見る。
そして溜息を一つ…
「俺、先登ろうか?」
「ハ、ハハ…お願いします…」
翔君高いトコ苦手だもんね?
仕方ないよね?
ちょっとだけ和が羨ましかった。
俺は防波堤に飛び乗ると、情けない顔で俺を見上げる翔君に向かって手を伸ばした。
翔君が俺の手をしっかり握る。
俺はそれを反動を付けて引き上げようとするけど…
翔君、ひょっとして太った?
「翔さん、そっちの手貸して?」
見るに見兼ねた潤が、翔君のもう一方の手を握った。
「せ~の~!」
結局潤と二人掛かりで翔君を引き上げると、防潮堤の上に立った翔君が申し訳なさそうな顔をする。
ふと砂浜に視線を向けると、夕日を背に、打ち寄せる波と戯れる、相葉ちゃんのはしゃぐ姿が目に入る。
それを少し離れた場所から和が笑って見ている。
どこにでもある光景。
それなのにどこか懐かしさを感じる。