第14章 おまけのPentagon
翔君の後に続いてリビングに入ると、すぐに斗真の視線を感じた。
「潤はまだ庭?」
「ああ。一人で寂しそうにしてたぜ?」
翔君の言葉に無数の刺が見え隠れする。
でも一方の斗真は、と言うと余裕の表情で…
「そっか。で、大ちゃんは潤とちゃんと話せた?」
「えっ…うん、まぁ…」
まさか俺にフッて来るとは思いもしなかった俺は、手にしたグラスを落としそうになってしまう。
「潤さ、ずっと大ちゃんのこと気にしてたからさ…。良かったよ、ちゃんと話せたなら…」
ずっと俺のことを…?
黙って俺の前からいなくなったのに?
俺を置いて行ったのに?
口をついて出そうになる言葉を、俺は必死で飲み込んだ。
「二人の間に何があったのか、大体想像は付くけどさ、俺は知ろうとも思わないよ? けどさ、潤の悲しい顔、俺見たくないんだよね、これ以上」
斗真…
潤のこと、全部受け止めて、その上でちゃんと愛してるんだね?
俺の心の中にあったしこりのような物が、少しずつ小さくなるのを感じた。
「つーかさぁ、お前連絡ぐらい寄越せよな? まさかお前と潤が、なんてこと予想もしてなかったから、腰抜かすとこだったわ」
俺の隣で翔君が拗ねたように口を尖らせた。