第14章 おまけのPentagon
「8月とは言っても、海風はあんまり身体に良くないよ?」
いつまでも心配症の翔君。
俺のことを思って言ってくれてるのが分かったから、俺はベンチから腰を上げ、まだ座ったままの潤を見下ろした。
そして耳元に口を寄せると、潤にしか聞こえないようなに、そっと囁いた。
「あの時、俺は一瞬でも潤のこと愛してたよ」
と…。
潤の目がパッと見開き、瞬間顔を手で覆った。
細い肩が小刻みに震える。
「ごめん、翔君。さ、中入ろ?」
ベンチに潤を残し、俺は翔君の手を引いてリビングへと入った。
「ねぇ、潤と何話してたの?」
翔君にそう聞かれたけど、俺はそれには答えることはしなかった。
だって潤と俺だけの秘密だから…。
「あっ、そうだ。潤と斗真、付き合ってるらしいよ?」
さっき潤の口から聞いた事実を、今度は翔君の口から聞かされる。
「へぇ、そうなんだ? ビックリだね?」
「潤から聞いたんだ?」
一生懸命演技したつもりだったんだけどな…
やっぱり翔君にはお見通しなんだね。
「う、うん。さっき、ね…」
「ふ〜ん、そっか…」
表情は変わらないけど、声のトーンが…
嫉妬丸出しじゃん…
そしてリビングのドアを開ける直前…
「智…」
低い声で呼ばれ、振り向いた俺の唇に、翔君の唇が重なった。