第14章 おまけのPentagon
お酒も入り、少し気分も良くなった頃、潤が俺を庭に呼び出した。
「松…潤?」
俺が声をかけると、ゆっくりと潤が俺を振り返った。
「智…」
久しぶりの呼び方に、俺の心臓が大きく跳ねる。
「…うん」
「なぁに緊張してんだよ?」
潤がクスクス笑いながら、庭のベンチに腰を下ろした。
「緊張…してねぇし…」
唇を尖らせ、俺も潤の隣に腰を下ろす。
「元気そうだな? 少し太った?」
潤が膨れっ面の俺を覗き込む。
「…言わないで。気にしてるんだから…」
図星を指され、俺はキッと潤を睨み付けた。
翔君のせいだ…。
翔君の食生活に合わせてたら…
「いんじゃないの? ギスギスしてるより、その方がよっぽど智らしいよ?」
「そ、そうかな…?」
“俺らしい”…
潤が思う“俺らしさ”って、一体どんななんだろう…
「うん。…俺が好きだった頃の智だ」
「…潤?」
「俺さ、今斗真と付き合ってんだ」
あっ、だから斗真と…
「アイツさ、丁度同窓会の後だったかな…。ロスの俺のトコまで尋ねて来てな?」
潤、ロスにいたんだ…
俺はそんなことも知らなかった。
「で、そのまま居座るようになってさ…。気付いたら…」
潤が一瞬遠い目をした…ような気がした。