第14章 おまけのPentagon
「和、手出して?」
和が言われるまま、そっと右手を差し出す。
「いや、それ違うだろ? もう一個の手、出してよ…」
「こ、こう?」
ニッコリ笑って和の手を取った相葉ちゃんが、箱の中から小さなリングを取り出し、和の薬指に嵌めた。
「まーくん、これ…?」
「戸籍上は無理でもさ、形だけでも…って思ってさ…」
和の目に涙が溢れる。
「俺にも嵌めてくれる?」
相葉ちゃんが和に向かって左手を差し出す。
小さなリングを持つ和の手が小刻みに震える。
きっと緊張してるんだよね?
リングが無事相葉ちゃんの指の根元に嵌まった瞬間、和が脱力したように大きく息を吐いた。
「ありがと、和」
相葉ちゃんが和の頬にキスをする。
その瞬間、その場にいた全ての人が祝福の拍手を二人に送った。
良かったね、和。
和の言う通り、世間的には認められる関係じゃないのかもしれない。
でも、ここにいる皆はちゃんと認めてるよ?
そして望んでいるよ?
二人の明るい未来を…
ふと隣の翔君を見ると、翔君の唇が微かに動いた。
“愛してるよ”
俺だけに聞こえるように…
俺だけに届くように…
俺はそれに笑顔で応える。
“俺も愛してる”