第14章 おまけのPentagon
「元気だった? さと…リーダー」
口をついて出た”智”と言う言葉を、”リーダー”と言い直し、潤が俺の顔を覗き込む。
変わらない笑顔。
でも名前、もう以前のようには呼び合えないんだね…
「えっ、あぁ、うん…。じゅ…まちゅ潤こそ…」
「言えてねぇし…」
「…うるさいよ…」
俺達の周りに、小さな笑いが起きる。
「さ、役者も揃ったことだし、そろそろ始めない?」
和の隣に腰を降ろした相葉ちゃんが、待ちきれないといった様子で缶ビールを手に取った。
「父ちゃん、一言挨拶したら?」
相葉ちゃんに促されて、おじさんがその場に立ち上がる。
手には飲みかけの缶ビールをしっかり握っている。
「あ~、え~、本日はお日柄も良く…」
瞬間、その場にいた全員がプッと吹き出す。
「父ちゃん頑張れ!」
照れ臭そうに少し薄くなった頭をポリポリ掻くおじさんに、相葉ちゃんが檄を入れる。
「ぉ、おう! 任せとけ!」
手にした缶ビールをグイッと喉に流し込むと、おじさんが一つ咳払いをした。
途端にリビングがシンと静まり、おじさんの快気の挨拶が始まった。