第2章 革命
「これで満足なの?」
意識を飛ばした智に股がったまま、雅紀は涙を流した。
「こんなことしたって…なにも変わらないよ? 寧ろ余計に辛くなるだけだよ!」
泣きじゃくる雅紀を背中から抱き締めた。
「触んないでよ…」
抱き締めた手は呆気なく振り払われ、行き場を無くして力なく宙をさまよった。
雅紀は脱力した智を抱き抱えると、バスルームへと消えていった。
一人部屋に取り残された俺は、ベットの端に腰掛け、乱れたシーツに指を触れた。
智の温もりがまだそこに残っていた。
確かに雅紀の言うとおりだ。
無理矢理身体を奪ったところで、残るのは虚しさだけ。
心まで手に入る訳じゃない。
雅紀に抱かれながら、 朦朧とする意識の中、何度もうわ言のように繰り返された愛しい人の名前。
‘’翔くん…‘’
聞く度に胸が締め付けられたみたいに苦しくなった。