第13章 ひとりじゃないさ
「いつから知ってたの…?」
翔君に顔を向けることなく問いかける。
「智君とニノが雅紀の家、訪ねた時だったかな…。雅紀から連絡貰ってさ…。その時だったかな、あんまり雅紀が言いにくそうにしてるから、ちょっと問い詰めてやったら、話してくれた」
そうだったんだね?
俺はそんなことも知らずに…
「ごめんね、翔君だってやだよね…」
力の入らない腕で身体を支えながら、上体を起こす。
そして翔君に背中を向けたまま、バスローブの前をきっちり重ね合わせ紐を腰に巻き付けた。
「何言ってんの?」
背中に刺さる翔君の低い声。
「だって、俺は潤だけじゃなくて雅紀とも…。そんなの、翔君だってやでしょ?」
俺はベッドから降り、ふら付く足でクローゼットに向かう。
「待てよ…待てってば…!」
漸くクローゼットに辿り付く、その一歩手前で翔君の腕が俺を引き寄せる。
後ろから抱すくめられ、俺は胸に回った翔君の腕に自分の手を重ねた。
身体の震えが止まらない。
ポタポタと零れ落ちる涙の止め方すら、もう分からない。
「智君? 俺はね…俺の気持ちはね、そんな話を聞いた後でも変わらなかったよ? 変わらずに、智君のこと愛してるよ?
智君は違うの?」
違わない、俺だって…