第13章 ひとりじゃないさ
”愛してる”…
伝えたい言葉が荒くなる呼吸と共に口から滑り落ちて行く。
「愛してる…何度だって言ってあげる。俺は智を愛してる」
瞬間、膝から崩れ落ちそうになる身体を翔君の腕が支えた。
「大丈夫。もう誰にも傷付けさせないから。誰にも指一本触れさせやしない」
俺の身体がフワッと浮き上がった。
翔君の腕に抱きかかえられ、ゆっくりとベッドに降ろされる。
まるで壊れ物でも扱うかのように、優しく、そっと…
「ごめんね、怖がらせるようなことして…」
そう言って翔君が俺の髪を撫で、額に軽くキスを落とすと、空いたベッドに翔君が腰を降ろした。
「もう寝ようか、疲れたでしょ?」
俺に布団をかけ、もう一つのベッドに潜り込もうとする翔君の背中を見つめる。
いや!
離れて行かないで!
もう俺を置いてかないで!
一人にしないで!
俺はベッドから飛び起き、翔君の背中に抱き付いた。
身体の震えはいつの間にか止まっていた。
「愛してる…翔しか愛せない…愛してるの…!」
広い背中がゆっくりと振り返る。
「やっと言ってくれたね?」
翔君の手が俺の顎にかかり、上向かせるとそっと重なる唇。
あぁ…
こんなにも俺を愛してくれる人がここにいる…
こんなにも愛おしい人がここに…
「抱いて? こんな俺だけど…翔君に抱いて欲しい…」