第13章 ひとりじゃないさ
翔君の舌と指で敏感な部分を弄られると、じわじわと這い上がってくる快感に俺の身体は抗いきれずに反応をしてしまう。
「あっ…ん、はぁ…っ…」
口から零れる吐息を抑えることが出来ない。
少しずつ中心に溜まっていく熱…
それに気付かれたくなくて、俺は膝を擦り合わせる。
でも気付くよね…
翔君の空いた手が、バスローブの紐を解き抜き取ったその時、俺の脳裏に思い出したくない記憶が蘇る。
縛られる…
そう思った瞬間、俺は全力で翔君の身体を押し退けようと、手を突っ張った。
「やっ…やだっ、やめて!」
肌蹴たバスローブを掻き合わせ、ガタガタと震え出す身体を丸め抱き締める。
「智君…? 智?」
触れようと伸びてくる手を払い除ける。
「あ、ご、ごめ…ごめ…なさ…」
「ねぇ、智? 俺を見て? 俺が怖い?」
薄っすらと開けた瞼の端に、翔君の悲しそうな顔が映る。
違うそうじゃない!
違うんだ!
「俺はしないよ? 智が嫌がることは…しない」
翔君の手がそっと俺の髪に触れる。
けど今度は払い除けたりはしない。
「怖かったね…? ごめんね? もっと早くこうしていれば怖い思いしなくて済んだのにね…ごめん…」
そう言って翔君の腕が背中からギュッと俺を抱きしめる。
翔君、
全部知ってる…の…?