第13章 ひとりじゃないさ
お腹も満たされ、用意されたアルコールも開けてしまうと、途端に会話にも困る俺達。
「智君…先シャワーしてきたら?」
翔君なんて視線すら合わそうとしない。
でも、それは俺も同じで…
「えっ、あ、うん…あの、じゃ、お先に…」
アルコールなんてほんの少ししか飲んでないのに、まるで酔っ払ってるみたいに、言葉がしどろもどろになってしまう。
ベッドの上の綺麗に畳まれたバスローブを胸に、俺はバスルームへと入った。
心臓の音が煩い…
服を脱ぎ、鏡に写った自分の姿を見る。
元々“男らしい”とは程遠い俺の身体。
今じゃ骨が浮き出てて…
「はぁ…」
思わず溜息が零れる。
コックを捻り、少し温めのシャワーを頭から浴びる。
ボディーソープをタオルに取り、全身を念入りに洗う。
普段は触れることのない部分まで丁寧に…
そんな自分が急に恥ずかしく思えてくる。
「これじゃあ期待してるみたいじゃんか…」
勢いよく降り注ぐシャワーで全身の泡を流すと、バスタオルで軽く水分を拭ってからバスローブを羽織った。
「お先…」
バスルームを出ると、翔君が窓辺に立って外の景色を眺めていた。
真っ暗で何も見えやしないのにね…
「翔君もシャワー浴びてきたら? さっぱりするよ?」
窓に映る翔君に向かって声をかける。
「そうだね…」
窓越しに翔君と目が合った瞬間、俺の心臓が跳ね上がる。