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Pentagon【気象系BL】

第13章 ひとりじゃないさ


カシャンと音を立ててロックが外れる。

そっとドアを開けると、シンと静まった部屋に、仄かに香る智君のお気に入りの香水の匂い。

受け取ってくれたんだ。

「智君…?」

そっとベッドに近寄ると、気持ち良さそうに寝息を立てる智君がいた。

ふともう一方のベッドに視線を向けると、脱ぎ捨てられたジャケットとネクタイ。

俺はそれを丁寧にハンガーにかけると、クローゼットに仕舞った。

智君が眠るベッドの端に腰を掛け、乱れた前髪を指で梳く。

「智君…さとし…?」

長い睫毛がピクリと揺れる。

そしてゆっくり開かれた瞼。

「しょ…くん…?」

掠れた声が俺の名を呼ぶ。

「良く寝てたね? お腹空いてない? ルームサービス、頼もうか」

テーブルに用意されたメニューを捲り、そこから智君が好きそうな物を注文した。

「同窓会は?」

ベッドから身体を起こした智君が一つ伸びをする。

「終わったよ? あ、岡田と斗真が今度一緒に飲もうってさ…」

「ふーん、そっか…。和と相葉ちゃんは? もう帰ったの?」

智君がベッドからソファーへと移動する。

俺はその向かいに座って、腕時計を外し、ネクタイを緩めた。

「それがさ、アイツらも泊まることにしたみたいだよ、このホテルに」

「へぇ、そうなんだ…。まさか隣の部屋だったりしてね?」

それは勘弁だな…

俺達は顔を見合わせると、声を上げて笑った。
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