第13章 ひとりじゃないさ
カードに書かれた数字は『3104』…サトシ。
そのことに気づいた時には、正直ちょっとだけ恥ずかしかった。
翔君て、案外キザなとこあるんだね。
カードキーに書かれた数字と同じ数字が書かれたプレートの部屋の前に立つと、一気に緊張が込み上げる。
震えてカードを落としそうになるのを、もう一方の手が支えた。
カシャンと音を立てて開錠されると、俺はゆっくりとドアを開けた。
ごく普通のシンプルな部屋には、シングルのベッドが二つ。
それを見て、どこかでホッとしている自分がいた。
ジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めると、ベッドに放り投げた。
窓辺に立つと、それまで張り詰めていた緊張の糸が切れたように、身体の力が抜けて行くのが分かった。
「疲れた…」
ベッドの端に腰を降ろすと、俺はそのままベッドに大の字になった。
シャワーを浴びたいとも思ったけど、それよりも睡魔の方が勝っていたみたいで…
「少しだけ」
瞼を閉じると、何かに吸い寄せられる様に眠りの世界に落ちて行った。