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Pentagon【気象系BL】

第13章 ひとりじゃないさ


「あのね、考えすぎなんだよ、余計なことばっか。好きなら好きで、自分の気持ちに正直になってみなよ?」

そう言った和の顔には、いつもの笑顔が戻っていた。

「好きなんでしょ、翔ちゃんのこと?」

俺は無言で頷く。

「もう離れたくないんでしょ?」

「…たくない。…ずっと一緒にいたい…」

「だったらさ、答えは言わなくても分かるでしょ?」

答えなんてとっくに出てたんだ。
でも一歩踏み出す勇気が、俺にはなかったんだ。

「待ってて上げなよ。今までずっと待ってたんだから、もう少しぐらい待てるでしょ?」

俺の手に和がカードキーを握らせた。

「…うん。でもあんまり待てないかも、って翔君に伝えてくれる?」

俺は腰を上げ、座ったまま俺を見上げる和に、精一杯の笑顔を向けた。

「ふふ、んな可愛い顔してると、またキスしちゃうよ?」

和が悪戯っぽく笑って、自分の額を指でトントンと突いた。

ごめん、和。
それ、もう必要ないかも…

「ねぇ、和は今幸せ?」

ずっと思っていたこと。
相葉ちゃんに愛されて、和はちゃんと幸せなのかな、って…

「当たり前でしょ? あんなバカでも俺のこと心から愛してくれてるからね? それに俺も愛してるし? これが幸せじゃないって言ったらそれこそ”罰”が当たりますよ」

そうだよね。
和の言う通りだ。

お互いを想う気持ちがなければ、決して幸せだなんて言えっこない。

「翔君に伝えて? 俺はいつまででも待ってるから、って…」

俺はカードキーを手に、エレベーターへと乗り込んだ。
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