第13章 ひとりじゃないさ
顔を上げると、俺を心配そうに見下ろす和が立っていた。
「潤に会いたくなっちゃった?」
和が寂しそうに笑った。
「違う。そうじゃないんだ。そうじゃないんだけど、なんか寂しくて…」
俺の隣に和が腰を降ろした。
「そうだよね、寂しいよね。だって俺も寂しいもん」
和も?
「考えても見てよ? ずっと俺達一緒だったんだよ? なのにさ、一人欠けるって、寂しいよ…」
和が天を仰いだ。
その目にはキラリと光るものがあって、俺は自分だけじゃなかったことに、少しだけ安堵した。
「これさ、翔ちゃんから預かってきたんだけど。どうする?」
目の前に差し出されたのは、小さなカード。
そこには小さく番号が書かれていて…
「これって…」
「そ、カードキー。このホテルのね? どうする?」
もう一度聞かれて、俺は和の顔を見た。
「どうする、って言われても…どうしたらいいのか…」
「翔ちゃんも無理にとは言ってないから、返したっていいんだよ?」
今ここでこれを受け取らなかったら、俺たちににこの先の未来はないの?
でも…
「ああ、もう焦れったいなぁ! 受け取るのか受け取らないのか、はっきりしろよな、ッたく…」
「和…?」
和がこんなに声を荒立てるなんて、もしかしたら初めてのことかもしれない。
俺は鼻息を荒くする和の横顔を、ただ呆然ととして見ていた。