第2章 革命
高校時代彼は‘’リーダー‘’の渾名で呼ばれていた。
リーダーとは言っても、クラスの纏め役的な存在でもなければ、とりわけ目立った存在でもなかった。
どちらかと言えば、常にボーッとして、何を考えているのかわからない…でも、彼の笑顔は人を魅了する何かを秘めていた。
それは俺も例外ではなく、彼の優しく、包み込むような笑顔に、ささくれ立った心は癒され、次第に彼自信に惹かれていった。
彼は絵を描くのが得意で、俺は彼に近付きたいが為に、彼と同じ美術部にまで入った。
そこで俺は気付いてしまったんだ。
彼が想いを寄せる存在に…
スケッチブックに描かれた、彼が唯一心から愛していた人…
常に彼の傍らには櫻井翔がいた。
翔もまた彼を深く愛していた。
彼ー大野智のことを…
そこに俺の入り込む隙間なんて、これっぽっちも無かった。