第12章 愛の夢
着替えを済ませ、部屋を出た俺達は、並んで階下へと向かうエレベーターに乗り込んだ。
途中ガタンと揺れたエレベーターに、翔君がビクッと身体を震わせたのが可笑しくて…
「もう、いつまで笑ってんの?」
和と相葉ちゃんの待つ受け付けに着くまで、俺の笑いが止まることはなかった。
「なんか楽しそうじゃない、お二人さん」
相葉ちゃんに揶揄われながら、俺達は翔君の運転する車に乗り込んだ。
「ってかさ、ホント気がきかないよね、お前って」
何の躊躇いもなく翔君の助手席をキープした相葉ちゃんを、和が独特の口調で皮肉る。
「翔さんもなんとか言ってやって下さいよ」
「ん? ああ、相変わらず仲いいよな、お前ら…、智君もそう思わない?」
ルームミラー越しに翔君が俺を見た。
「えっ、ああ、うん。仲、いいよね…」
「仲良かったら普通は、隣に座りますけどね…」
その口調で和がちょっとだけ拗ねているのが分かった俺は、こっそり和の手を握った。
「俺達も仲良くしよ?」
「そうしましょうか」
俺は和の肩に、コツンと頭を預けた。
その時、車が急ブレーキをかけて止まった。
前のめりになった俺と和は、顔を見合わせると、同時に小さく吹き出した。
翔君がシートベルトを外し、運転席から降りたと思うと、助手席のドアを開け放った。