• テキストサイズ

Pentagon【気象系BL】

第12章 愛の夢


「それ、抜いて貰わないとね」

翔君が俺の腕に刺さった点滴の針を指さし、ナースコールのボタンを押して。

程なくして現れた看護師は、黙々と作業を済ませ、ペコリと軽く頭を下げて部屋を出て行った。

「愛想ねぇのな?」

翔君が眉を潜めるから、俺も吊られて眉を潜めて見せる。

「ほんと、愛想ないよね」

そして二人で顔を見合わせ、クスリと笑った。

「着替え、するでしょ?」

「あ、うん…」

流石にこんな格好で帰る勇気は、俺にもない。

「はい、これ」

翔君が綺麗に畳んだ俺の服を棚から出した。

寝巻きの紐を解き、糊の効いた布を肩から落とすと、素肌に刺さる視線を感じた。

「あの…向こう、向いてて…?」

「えっ、あっ、そうだね、ごめん…」

慌てて背中を向ける翔君。
一瞬チラリと見えた顔は、真っ赤に染まっていた。

「…ってかさ、さっきの大胆さはどこいったの?」

俺に背中を向けたまま、翔君が言う。

「さっきって…あっ…」

言いかけて俺は思い出す。

裸同然の姿で翔君の膝に跨ったことを…

瞬間、俺の全身の血液が顔に集中するのを感じた。

「あれは…忘れて?」

「忘れて、って…。忘れたくても忘れらんないでしょ、あんな…」

クスクスと翔君の肩が小刻みに揺れた。

「もう…翔君なんか知らない…」

俺は僅かに怠さの残る身体に、大急ぎで服を身に着けた。
/ 297ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp