第12章 愛の夢
“一緒に”と言ってくれた翔君に、俺は首を横に振って応える。
これは俺と潤の問題。
俺が自分で乗り越えなきゃいけない事。
「ごめん…少しだけ一人にしてくれる?」
「分かった」
翔君の手が離れ、代わりに額に触れる翔君の唇。
そしてギュッと抱きしめてくれる強い腕。
大丈夫。
言葉にしなくても伝わってくる翔君の思いが俺を強くしてくれる。
和か相葉ちゃんに肩を抱かれて部屋を出た。
その後を追うようにして、翔君も部屋を出る。
一人になった部屋は、さっきまでの騒々しさがまるで嘘のように、シンと静まり返る。
俺は大きく息を吸って、それを一気に吐き出した。
そして箱の蓋をそっと開ける。
中に入っていたのは、白い薄紙に丁寧に包まれた…スーツ?
それは紺地に薄いブルーのラインが入っていて、広げて身体に宛ててみると、俺にピッタリのサイズだった。
箱の中には他にも、揃いのスラックスや、それに合わせたシャツ、ネクタイまで入っていた。
全てが一寸の狂いもなく、俺のサイズで仕立てられている。
でも、なんで?
全てを箱から出し終えると、箱の底に小さなメモ用紙が張り付けてあった。
俺はそれを捲り、そこにかいてある文章に目を通した。
潤の字…?