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Pentagon【気象系BL】

第12章 愛の夢


「分からないならそれでもいい。…でもね?」

俺の頬を翔君の両手が包む。

「ほら、あったかいでしょ?」

俺は無言で頷く。

「素直になろ? 俺はいつまででも待つよ? 智君が心から俺を求めてくれるまで…ちゃんと答えを出せるまで、いつまでだって待つよ?」

翔君の腕が俺の首に周り、グッと引き寄せられた。

暖かい手が、まるで子供をあやすように髪を撫でる。

翔君の肩口に耳を付け、規則的に打ち付ける心臓の音を聞いた。

トクン…トクン…

小さな音が俺の胸の音と重なる。


一人じゃない…
俺は一人じゃないんだ。

手を伸ばさなくてもいいんだ。
だってこんなにも近くに暖かい手がある。


心に刺さった無数の刺が一つずつ抜け落ちて行くのを、温もりの中で感じた。

「少しだけ…もう少しだけ待っててくれる? ちゃんと答えを出すから…」

翔君が頷く。

そして膝の上から俺を下ろすと、俺の身体がフワッと宙に浮いた。

そのままベッドに下ろされ、布団をかけられる。

「帰る…の?」

俺は無意識のうちに、翔君のシャツの裾を掴んでいた。


「智君は、どうして欲しい?」

素直になれ、と見下ろす視線が語りかける。

「…行かないで?」

途端に顔を綻ばせる翔君。

「分かった」

かけられた布団が捲られ、狭いベッドに翔君が潜り込んで来る。
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