第12章 愛の夢
翔君の首に回した腕を引き寄せ、強引に翔君の唇を奪った。
息が出来ない程翔君の咥内を蹂躙し、どちらのものとも分からない唾液が溢れ出したところで、漸く開放した。
「…ん…はぁ…、なんのつも…り?」
肩で息を繰り返し、翔君の赤く充血した瞳が俺を見据える。
「なんのつもり、って…。翔君俺の声聞いてどう思った? 俺の身体見てどうだった? 抱きたくなったんじゃないの?」
首に回した腕を解き、病院から貸し出された寝巻きの紐を解いた。
下着以外は何も着けていない状態になった俺は、パイプ椅子に座ったまま動けずにいる翔君の膝に跨った。
「抱けよ? …ねぇ、抱いてよ? 寒いんだ…心も、身体も…寒くて凍えちゃいそうなんだよ…だから、お願い? …俺を抱いて?」
身体を密着させた俺の身体が、小さく震え始める。
それを感じとった翔君が、ベッドに脱ぎ捨てられた寝巻きを取り、俺の肩にそっとかけた。
「確かに…確かに智君の言う通りだよ。あんな声聞かされて、あんな姿見せられて…普通でいられると思う? …いられるわけないじゃん」
「だったら…」
「でも今の智君は抱きたいと思わないよ? どうしてか分かる?」
わかんないよ…
俺はただ温もりが欲しいだけ…
それ以外は何もいらない…