第12章 愛の夢
次に目覚めた時、俺の視界には見知らぬ天井。
ここ…は、病院…?
ボヤける視界で辺りを見る。
「しょ…くん…?」
ベッドの端に突っ伏し寝息を立てる翔君の、黒い髪に手を伸ばすけど、翔君が身じろぎしたのに驚いて、その手を引っ込めた。
「ごめ…ね? ごめ…なさい…」
俺は両腕で顔を覆った。
罪の証が溢れ出し、俺の頬を濡らす。
愛してるのは翔君だけなのに…
愛して欲しかったのは
ずっと翔君、ただ1人なのに…
愚かな俺は、自分の欲望を満たす為に潤の心を利用したんだ。
あの日無理矢理開かれた俺の身体に感じたのは、痛みや苦痛だけじゃなかった。
愛なんていらなかった。
一度覚えてしまった快楽に、ただ溺れたかった。
俺は和や翔君が思う程、綺麗な人間じゃないんだ。
潤の想いを知りながら、土足で踏み躙った汚い人間なんだ。
そんな俺が、愛を欲しがるなんて、しちゃいけないんだ。
俺は腕に刺さった点滴の針を抜き取り、眠る翔君を起こさないよう、そっとベッドを抜け出した。
ふらつく身体で壁伝いに部屋の出口に向かって歩を進める。
そしてやっとの思いでドアノブに手をかけた時、俺の身体はフワッと浮き上がった。
「どこ行くの? また、俺を一人にするの?」
俺は翔君に抱き抱えられ、ベッドに逆戻りした。