第12章 愛の夢

“会いたい”

そう言ってしまえればどれだけ楽なんだろう…

でも言ってしまったらきっとまた誰かを傷つけるかもしれない。

俺は首を横に振った。

言葉にしてしまったら、抑えきれない感情が溢れ出してしまいそうだったから…

｢…そっか…｣

和が俺の横にゴロンと寝転んだ。

片手で頭を支え、目線を俺と同じにする。

｢俺はさ、大野さんの気持ち、痛い程分かるよ？ もう誰も傷つけたくないとかさ…潤のこともあるしね？｣

ポツリポツリと和が言葉を撰びながら、俺に語りかける。

｢確かにさ、俺達みたいな“関係”って、沢山の人傷つけてるよね？ 親にしろ、友達にしろ…？ それは俺だって例外じゃない。いっぱい反対されたし、親も泣かせたしね？｣

一言一言を噛み締めるように和が言葉を紡ぐ。

｢俺もね、やめちゃおうと思ったことあったの、まーくんとの関係。…だって考えてもみてよ？ 誰にも祝福されないしさ…寧ろ人を不幸にしてるんだよ？ そうまでして続ける関係じゃないなって…｣

知らなかった。
和がそんな風に思っていたなんて。

俺はいつも自分のことばっかで、和の気持なんてこれぽっちも考えたことなかった。

｢…ごめ、和。俺、気付…て上げられな…て…｣

そっと手を伸ばし和の頭を撫でると、和が照れくさそうにクスリと笑った。