第12章 愛の夢
和が溜息を一つ吐いて、相葉ちゃんの肩に手をかけた。
「まーくんさ、大野さんのことは俺に任せてさ、下行って”お客さん”の相手でもしてくんない? 多分やきもきしてる筈だからさ…」
「うん、分かったよ…」
相葉ちゃんの手が俺の髪を撫で、腰を上げた。
そして相葉ちゃんが座っていた場所に、和が腰を降ろした。
「やれやれ、やっと煩いのが出てったよ」
胡坐をかいて座った和の肩がストンと下がった。
「…ご…と…は…?」
喉が引き攣れるように痛んだ。
「ん、あぁ、仕事? 言ったでしょ、速攻で終わらせて来るって…大丈夫、ちゃんと終わらせたから」
俺はそれにも頷いて答えることしか出来なくて、もどかしさからまた涙が溢れそうになる。
だめだ…
俺が泣いたらまた和を困らせる。
そんな俺の気持ちが分かったのか、和の手が汗で張り付いた俺の前髪を掻き上げた。
枕元に置かれた洗面器で濡らしたタオルが頬に触れると、ヒンヤリとした冷たさに身体がピクンと震えた。
「ふふ、冷たくて気持ちいいでしょ?」
和が悪戯っぽい顔で笑った。
でもその顔はすぐに真顔に戻ってしまう。
そして真剣な眼差しが俺を見下ろした。
「会いたい? …翔ちゃんに、会いたい?」