第12章 愛の夢
布団に潜り込むと、いつもはすぐ傍にある感じる温もりがないことに寂しさを感じる。
不意に向けた視線の先に、相葉ちゃんの寝顔があった。
布団からひょこり顔を出した手に、そっと手を伸ばすけど…
「眠れないの?」
眠っているとばかり思っていた相葉ちゃんの目が開き、俺は伸ばしかけた手を咄嗟に引っ込めた。
「あ、ご、ごめん…起こしちゃった?」
「俺も丁度眠れなかったからさ」
そう言って相葉ちゃんは白い歯を覗かせた。
そして俺の引っ込めた手を握った。
「相葉…ちゃん?」
声が小さく震えた。
「そんな顔しないでよ? こうしてたら眠れるんでしょ? 和の代わりにはなれないけどさ、我慢してよ?」
俺を安心させようとする相葉ちゃんの声は、どこまでも優しくて…
「ホントだ…和の手はもっとふっくらしてるのに、相葉ちゃんの手はゴツゴツしてる…」
「ひっで~の。男らしい、って言ってくれません?」
相葉ちゃんがクスクス笑うから、俺もそれにつられてクスクス笑ってしまう。
「ありがと…相葉ちゃん…」
「ううん、俺の方こそごめんね、色々…」
相葉ちゃんが何に対して謝罪しているのかはすぐに分かった。
でも俺ははぐらかすように、
「何が?」
と答えた。