第12章 愛の夢
相葉ちゃんと二人だけの夜は…正直まだちょっと怖い。
相葉ちゃんのことは信じてるし、あの時のことだって、すっかり、とまではいかなくても許してる。
二組並んで敷かれた布団の間を、少しだけ開けた。
なのに…
風呂から上がった相葉ちゃんはシレっとその隙間を縮めた。
そして飲みかけの缶ビールを俺に差し出した。
「なに?」
「和もいないしさ、たまにはいいんじゃない? 黙っといて上げるからさ」
「だから何が?」
何が言いたいのかさっぱり分からない俺は、缶ビールを相葉ちゃんに突き返した。
「だからさ、最近呑ませて貰えないでしょ? だから」
「なんだ…そういうことか…」
そう言えば体調が悪いせいもあってか、つい先日和から”禁酒令”が下ったのを思い出した。
一旦は相葉ちゃんに突き返した缶ビールを、再び自分の手に取り戻した。
最近の和は小姑みたく、何かと口煩い。
”禁酒”の前は何だったっけ…思い出した、そうだ”禁煙”だ…
全部俺のため…俺のことを考えてくれてるんだよね。
握り締めた缶ビールを見つめながら、ふと和の呆れ顔が浮かんだ。
「…やっぱやめとくよ。和にばれたら、俺も相葉ちゃんも命ない…」
俺の言葉に、相葉ちゃんが慌てて俺の手から缶ビールを浚っていった。