第12章 愛の夢
約束の一週間を過ぎても、潤が俺を迎えに来ることはなかった。
初めから分かっていたこと…。
でも実際現実になるとけっこう辛いものがある。
何度も潤の携帯に電話を掛けた。
でも潤が電話に出ることはなく、代わりに女性の機械的な声が虚しく帰って来るだけだった。
もどかしい時間だけがどんどん過ぎて行った。
それでも何とか笑って過ごせているのは、片時も離れることなく寄り添っていてくれる和と、相葉ちゃん、そして相葉ちゃんのお母さんのお陰なのかもしれない。
相葉ちゃんの家にはあれ以来…和と二人で相葉ちゃんを訪ねた日以来世話になっている。
ずっと続いていた寝不足と精神的ストレスに、とうとう俺の身体が悲鳴を上げた。
帰りがけ玄関先で倒れた俺は、それこそ三日三晩熱に魘された。
そして熱が下がると同時に和のマンションに帰ると言って聞かない俺を、見るに見兼ねたおばちゃんが強引に引き留めた。
あまりの強引さに圧倒された俺は、相葉ちゃんのお父さんの店を手伝う条件で、暫くの間お世話になることを決めた。
いくら友達の家だからとは言っても、タダで厄介になるのは、少々気が引けたから。
身体を動かすのは正直好きじゃない。
でも何かしていないとまた余計なことばかり考えてしまう。
気を紛らすために俺は店の手伝いに励んだ。
小さい割になかなかの忙しさで、俺は自分の体力の無さを痛感した。
このままじゃだめだ…
今のままじゃ…
俺の中で何かが変わろうとしていた。