第10章 「新世界」より
ベッドに横になると直ぐに睡魔が襲ってきた。
たった数時間の間に、予想もしない出来事ばかりが起きて、俺は心も、そして身体も疲れきっていた。
でもそれは決して不快な物ではない。
これまで押さえ付けていた思いを解き放ったような…爽快感さえ感じる疲れだった。
あ、連絡…してないや…
ふと思い出したアイツの“結果連絡しろよ”の一言。
明日朝イチでメールを送ろう…
俺は目を閉じると、深い眠りに落ちた。
目が覚めたのは昼近くだった。
パジャマのままリビングに行くと、そこに母さんの姿はなく、俺はキッチンを覗いた。
「あら、起きたの?」
母さんの明るい声がキッチンに響いた。
「あ、うん。おはよ…じゃないか…」
寝癖の付いた頭を掻く俺に、母さんがクスッと笑いながら、
「ご飯用意しておくから、先に顔洗って着替えてらっしゃい」
と、俺の背中を押した。
俺は促されるまま洗面所入り、顔を洗って寝癖の付いた髪を直した。
不意に顔を上げた俺の視界に飛び込んできたのは、昨日とは全く別人のようにスッキリとした、鏡に映った自分の顔だった。
「あ、メール! 飯の前にメールしとかないと…」
きっとアイツは俺からの連絡を、ヤキモキしながら待ってる筈だ。
アイツはそうゆう奴だから…
自室へ戻ると着替えよりも前に、スマホを手に取った。