第9章 子守唄
恐ろしい運転に揺られ、相葉ちゃんの家に着いた頃にはすっかり日が暮れていた。
おばちゃんの手伝いをしながら夕食の準備をした。
誰がこんなに食うんだ、ってぐらい大量の料理がダイニングテーブルに並べられた。
「そろそろあの子たち起こしてきてちょうだい」
おばちゃんが壁の時計を見ながら言った。
俺は3階に上がり、相葉ちゃんの部屋の扉をノックしようとしたが、止めた。
まだ寝てるかもしれない…
そっと扉を開けた。
そして俺の目に飛び込んできたのは…
えっ…えぇっ…!?
呆然と立ち尽くす俺と、突然の来訪に驚きのあまり固まる二人の目が合った。
「晩御飯、用意できたから降りて来いって…」
視線を足元に移し、要件だけを伝え、ゆっくりとドアを閉めた。
「おじゃましました…」
と、一言残して。
階下へ降りる階段の途中、ドクドクと打ち付ける鼓動を抑えるように、胸を押さえてその場に蹲った。
あんなこと…俺もしてるの?
あんなこと…俺もされてるの?
ショックだった。
思いがけず見てしまったことも…
そして何より、自分自身の姿をそこに重ね合わせ、僅かではあっても中心が反応を示したことがショックだった。