第9章 子守唄
俺の頭を、おばちゃんのぽってりした手が撫でた。
「さとちゃん誤解してるね?」
誤解って?
俺が一体何を誤解してるの?
誤解なんてしてない。
だって悪いのは全部俺なんだ。
俺は顔を上げ、頭を撫でるおばちゃんの手を振り払った。
おばちゃんが一瞬悲しそうな顔をした。
でも俺は込み上げてくる感情を止められなくて…
「俺が悪いんだから…。俺が…全部…」
上がって行く呼吸を感じながら、思わず声を荒らげた。
「本当に馬鹿な子だ…」
おばちゃんの腕が俺をぎゅっと抱き締めた。
「そんなに自分ばっか責めるんじゃないよ。さとちゃんが何悪いことしたって言うんだい? ただ“人”を好きになっただけだろ? それのどこが悪いんだい?」
ゆっくり、諭すようにおばちゃんは俺の背中を摩る。
「だって俺が好きになったのは…」
「そうだねぇ…。確かにまさか息子が、って思う気持ちは私にも分からないわけじゃない。…私もそうだったから」
”私も…”
その言葉に、俺は顔を上げた。
おばちゃんは相葉ちゃんと和の関係を知ってるの?
「そりゃ驚いたよ? でもさ、今となっちゃ息子が一人増えたと思ってるよ。本当の息子よりも可愛い息子がね?」
そう言っておばちゃんは笑った。