第9章 子守唄
軽トラの荷台に荷物を乗せると、空になった手がジンジンと痺れた。
「お疲れさんだったね」
おばちゃんが運転席に乗り込み、俺も助手席に乗り込んだ。
ガッチリシートベルトを締め、あの恐ろしい運転に耐えられるよう、足に力を入れた。
おばちゃんは暫く車を走らせると、海岸沿いのコンビニの駐車場に車を停めた。
「ちょっと待ってな」
軽い身のこなしで運転席から降りると、一人カラコロとコンビニの中へ入っていった。
買い物を済ませたおばちゃんは、俺にトラックを降りるように手招きをした。
今度は何をさせられるんだろう…
一瞬不安が過ぎったが、それは俺の勝手な思い込みで、おばちゃんが堤防の横のベンチにどっかり腰を下ろしたから、俺もその横に腰を下ろした。
おばちゃんがコンビニ袋を漁り、俺にプリンを差し出した。
「これなら食べれるだろ?」
ご丁寧に蓋を開け、スプーンまで刺してあるそれを、俺は受け取った。
「ありがとう…ございます」
一口掬って口に入れると、甘い香りが口の中に広がった。