第8章 椿姫
雅紀side
俺達はお互いを求め合った。
すれ違っていた時間を取り戻すように、
貪欲なまでに激しく…
何度熱を放っても、全然足りなかった。
先に意識を手放したのは和の方だった。
俺もその後を追うように意識を遠ざけた。
目を覚ました時、窓の外はすっかり闇だった。
「お、おい、和?」
肩を揺さぶると、瞼がピクンと動いた。
「起きろよ、ヤベーよ、母ちゃん帰ってきてるかも…」
母ちゃんにこんなトコ見せたら…考えただけで恐ろしい…
「なぁ、ってば!」
「…ぅん…うっせーな…って、おいっ!」
徐々に覚醒する意識の中で、瞬時に状況を察知した和が俺の隣で急に慌てて身体を起こす…が、
「痛ててて……」
腰を押さえてその場に蹲った。
「大丈夫…じゃない…よね…?」
逆にあれだけ乱れて大丈夫な方がよっぽどおかしい。
「オマエ、やっぱバカだ…」
涙目で睨むけど、それすらも愛おしくて、
「好きだよ、和?」
俺は和の身体をギュッと抱き締めた。
「…痛いって…」
「うん」
「パンツ…貸せよ…」
「今それ言う?」
恥ずかしそうに俯く和の顔が真っ赤に染まっていた。