第8章 椿姫
「俺が抱かれたいと思うのも、抱きたいと思うのも、オマエしかいないんだよ。なんで分かんないかな?」
嘘じゃない。
俺にはまーくんしかいない。
今までも、そしてこれからも。
「で、でも、メールで終わりにする、って…」
「あんまりオマエが無視するから…。カマかけたんだよ。それも分かんなかったのかよ」
実際は、送った後でおばあちゃんに事情を聞いて、俺は酷く後悔したんだけどね。
そんな大変なことがまーくんの身に起きてるなんて、俺は知らなかったから。
でも…
でも俺だって…
「どんだけまーくんに助けて、って思ったか…分かんないでしょ?」
まーくんの腕が俺を抱き寄せ、俺の身体はまーくんの胸にすっぽり埋まった。
久しぶりに感じるまーくん体温。
「ゴメン、和。俺、和からのメール見てさ、勝手に誤解して、一人で拗ねてた」
うん、と俺はまーくんの胸で頷く。
「大ちゃんのことばっか書いてあってさ…。俺がこんなに大変なのに、和は俺よりも大ちゃんのことばっかで…嫉妬、してたのかもしれない」
まーくんが鼻を一つ啜った。
顔は見えないけど、多分泣いてる。
まーくんは泣き虫だから…