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Pentagon【気象系BL】

第8章 椿姫


雅紀side


和の顔を見ていたくなくて…

だってそうだろ?

大ちゃんと仲良くしてる姿なんて、見ていたくない。

俺は堪らず自分の部屋へ逃げ込んだ。

油に塗れた服を脱ぎ捨て、ベッドに潜り頭から布団を被った。

目を閉じると、考えたくないことばかりが頭に浮かんで来る。

しっかりと繋いだ手。
和の大ちゃんを見る目。
声…

今にも零れそうになる涙を、唇を噛んで堪えた。

その時、ドアをノックする音が聞こえた。

きっと母ちゃんだ…

そう思った俺は寝たふりをした。

でもノックの音は鳴り止まず…

「ああっ、もおっ! 俺は疲れてんだから、ちょっと寝かせろよ」

布団の中から叫んだ。

嘘じゃない。
実際身体は慣れない生活に疲れ切っていた。

おまけに和のことで気持ちも落ち着かない。

「も、ほっといてくれよ…」

堪えていた涙がとうとう零れた。

「ほっとけないでしょ?」

えっ?

俺は布団から顔だけ出して、声の主を見た。

「ってかさ、お前何やってんの?」

なんで?
なんでだよ?

「か、関係ないだろ…」

冷たく言い放って、また布団に潜り込んだ。
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