第1章 アヴェ・マリア
次々とテーブルに並べられる料理。
パスタにカルパッチョ…あとは、俺の知らない横文字の、多分イタリアン。
「すげぇなぁ…」
ここまでくると溜息しか出てきやしない。
「簡単だよ、これぐらい」
俺の隣に腰をおろし、ワインのボトルを手にした。
ワインオープナーを器用に操り、コルク栓を引き抜くと、俺の前に置かれたグラスに深紅の液体を注いだ。
軽くグラスをぶつけ合い、俺達は数年ぶりの再開に乾杯をした。
口に深紅の液体を含むと、独特な香りが鼻腔を擽る。
正直なこと言うと、酒は嫌いじゃないが、ワインはどちらかと言えば苦手な方で…
「リーダーはビールの方がいいんだよね?」
それを察知した松潤は、席を立ちビールと、キンキンに冷えたジョッキを俺の前に置いた。
「折角開けてくれたのに、ごめんね?」
ジョッキに琥珀色した液体を注ぎ、喉に流し込んだ。